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9月, 2020の投稿を表示しています

動作・台詞と感情の描かれ方(9/26)

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今回も前回と同じ作品を読むことになりました。 参加人数は4人だったので、役は固定しつつ1場ごとに一人ずつ交代する形で読み進めていきます。 村上さんは、前回も少しピックアップした「語気が荒くなってしまった。」というト書きが 対象の台詞より後に書かれてい事を例に挙げ、 過去形の動作や情動のト書きを対象の台詞や動作より後に書く事により、 強く印象付けられる効果や、読み物としてテンポよく読み進められるという 効果があるといいます。 一通り読み終えたところで村上さんから各場の簡単な解説がありました。 各場ごとに印象的なアイテムやワードがあり、それぞれが強く象徴的に描かれていました。 麦茶を飲む飲まないというやりとりがシーンをまたいで度々出てくるのですが、 シーン毎に色々なことを象徴していて、例えば夏の法事に出てくるような印象から 葬式的なイメージを想起させるようなところがあります。 また畳の上の蟻を目で追うシーンも何回か出てきますが、 実際に上演すると観客から見えるか見えないかのサイズであるため、 いるかいないかが曖昧な登場人物の象徴というようにも取れます。 剣道のシーンでメッタ打ちになるのは、 痛みによる記憶の刷り込みの様で「忘れてほしくない」という気持ちを表しているのではないか、 最後の場で、どうでもいい他愛のない話題が繰り広げるのは、 延々と続けられる内容から別れる寂しさを喚起される、 等々、 挙げ始めるとキリがないほど象徴的な描かれ方をしているものが散りばめられている戯曲でした。 担当:広瀬

ト書きを味わう(9/19)

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今回も参加者が少なめということで、鈴江俊郎さん作の2人芝居の戯曲を読むことになりました。 ト書きが長く、動作に関する描写が多いため、 少しずつ、実際の動きを試しながら読み進めていきます。 序盤の内は登場人物の関係性や置かれた状況に謎が多く、 掴みづらい部分もあったのですが、 読み進めると徐々に関係性や状況が見えてくる形になっていました。 また、特にその序盤はセリフよりト書きの分量が多く、 その分、ト書きの通りに動作を付けてみたり発話したりすることで、 ただセリフだけを読むだけでは分からないところまで深めていきます。 ひと通り読み終わったところで序盤の謎の多かった部分を改めて読んでみると、 状況が見えている分また感じ方が変わって、 登場人物たちの心情をより深く味わえているようでした。 担当:広瀬

方言と言葉遊び(9/12)

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今回は参加人数が2人と少なかったため急遽、一人芝居の台本を読むことにしました。 まずは、先週からの流れで方言について各自調べてきたことをシェアしました。 今回読んだ一人芝居も福島の方言が多用されていて、 同じ福島の方言でも違いがあって、発音を 模索しながら読み進めていきます。 言葉遊びの部分が多く、方言と絡めたような言葉遊びもあり、 皆さんたびたび読みながら思わず吹き出してしまっていました。 担当:広瀬

方言を模索する(9/5)

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今回から扱う作品は様々な方言が飛び交う作品です。 YouTubeで方言の動画や実際の上演のダイジェストなどを見てどう喋れば良いのか探りながら少しずつ読み進めていきます。 冒頭のト書きが長く詳細なため、舞台配置・邸宅の間取りを絵に描いてみて、 イメージを共有するところからはじめました。 いつもより短く区切って、各地方の方言を動画から音で確認しつつ、 カタカナのルビを、焦らずゆっくり立ち止まって確認しながら、読み解いていきます。 村上さん曰く今回の作品は、今後、方言芝居に出演するようなときの参考にもなるといいます。 これから数回に分けて読み進めていきます。 担当:広瀬

多様な解釈を喚起する戯曲(8/29)

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3回に渡った岩松作品を結末まで読み進めました。 前にもお話がありましたが、劇作の歴史的な流れを知ることもこの講座の一つの魅力となっています。 それまでの声を張り大きく動き回るような演劇がどちらかというと子供っぽい演技体、 岩松作品のような、いわゆる「静かな演劇」は大人っぽい演技体、 と村上さんは表現します。 みなさん、結末まで読み切った感想として、 姉と弟の親密さ、特にラストのじゃれ合うといった雰囲気に、 兄弟という関係性としては近すぎるという、違和感や気持ち悪さを感じたようです。 今回はとにかく色々な解釈が出て、 村上さんも過去に自分で読んだときより更に面白くなったと言います。 女性が髪を下ろして見栄えを変えるという仕草一つ取っても、 それが夫以外の男性を意識したものと捉える人もいれば、 他の女性を意識したものと捉える人もいました。 小道具の使い方も登場人物や物語の印象に大きく作用していて、 ガラス玉(スノードーム)という小道具が表すのが、 「こちら側の世界とあちら側の世界」というメタファという意見も出て、 特に終盤の沈黙の中でこのガラス玉を手に取るシーンというのは、 前後のト書きや言葉数少なな台詞から、 みなさん色々な想像力が喚起されたようです。 解釈の幅がある、想像力を喚起されるというのは良い戯曲の証拠だと村上さんは言います。 この講座ではト書きも受講生が役と合わせて交代で読んでいますが、 今回はト書きにも読んでいて感情が乗って、 もうひとりの登場人物のような気持ちで読んでいたという感想も出ました。 ト書きの言葉の表現の端々にまで感情や情景が浮かぶような、 想像力をかき立てられる戯曲でした。 担当:広瀬