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10月, 2020の投稿を表示しています

キャラクター性を楽しむ(10/24)

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前回から引き続き『フローズンビーチ』を読んでいきます。 参加人数が増えて登場人物の人数と揃ったので、再び冒頭から。 読む上での台詞のテンポ感を大事にするため、過去形のト書きが多用されています。 慌てず、ト書きが後から出てきたら少し戻って確かめつつ読み進めます。 作者の得意とするナンセンスコメディの特徴として、 笑いの基本形である「フリがあってボケる」という形に対して フリをすっ飛ばす形で急に何の脈略もないギャグが入るようになっています。 また、「市子」という登場人物のキャラクターで評価されたという、この作品。 市子を読んでいた受講生もとても楽しかったそうで、 他の方々も次回以降で市子を読みたいということで、 これから数週に渡って、配役を交代しながら続けていきます。 担当:広瀬

ナンセンスに翻弄される(10/17)

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今回から『フローズンビーチ』という作品を取り上げます。 ミステリーのようなストーリーの中で唐突で突拍子もないギャグが繰り広げられるこの作品。 まずは、整理をするためト書きから舞台の要素を図にしてみます。 作品冒頭のト書きには無い舞台要素が台詞途中のト書きでいきなり出てきたりする割に、 冒頭ト書きに特段不要そうな”キリンの置物”が書いてあって、 みなさん「なんでそんな物が?」というようなリアクションだったのですが、 読み進めていくと実はのちのちシーンに活きてくるなど、 これだけでもどこか可笑しみがあります。 ミステリーの内容とコメディのシーンを行ったり来たりすることで、 実際の上演では観客が翻弄され続けるような感覚があるということですが、 事前に目を通した受講生からは、「目で読むだけでは何の事か分からなかったけれど、実際に会話として自分で声に出したり他の人から聞いたりすると台詞やキャラクターの面白さが分かってきた」との声もありました。 長編作品であることと、欠席が重なって受講生が少なかったこともあって、序盤4分の1ほどしか読めませんでしたが、 これから数回に渡って読み解いていきます。 担当:広瀬

ギャップと変化を見出す(10/10)

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今回も前回と同じ作品を取り上げました。 前回お休みだった人もいるので、改めて状況を整理しつつ読み進めていきます。 受講生から「主人公を(加害者に転じる前と後とで)同じ人物として演じるのは、難しい」という感想が出ました。 それに関して村上さんからは、変化のポイントをどこに持ってくるかが重要で、 どのタイミングに転換点を置いて演じるかで印象が変わって、 それによって全体の見え方も違ってくる、というアドバイスがありました。 また、百々山(警官)が登場人物で唯一、物語の中でクスっとくるポイントを持っていて、 演じ方でいくらでも面白くできそうだという感想と同時に、 必ずしも正義らしからぬ言動が多いという意見が出て、 作者の野田さんが抱く警察の印象や70年代の世間での警察のイメージなのかも知れないという話になりました。 また、子どもの役を読んでいた受講生は、 子どもが被害者だからこそ主人公の残虐性がより際立って感じたそうで、 村上さんや他のみなさんも、弱者を攻撃する残虐性も全体の怖さに影響しているというような感想をお持ちでした。 ある受講生からは、昔怖い本を夜に呼んだ翌朝に「普通の日常でよかった」と安堵した思い出と重なったという感想も出て、 読み終わって日常に戻った安堵感もこの作品の良さの一つにあるのかもしれないということで、 今回の講座を終えました。 担当:広瀬

ト書きや台詞から「見立て」を見出す(10/3)

今回は、野田秀樹さんの作品『THEBEE』を取り上げました。 この作品は主人公以外の役について一人の役者が何役も兼ねるようになっていて、 立って、ト書きに動作が出る度に少し動きも付けて確認しながら、 立ち位置の変化などからも役柄の変化を読み取っていきます。 村上さんが観た実際の上演では「見立て」の演出が多用されていて、 例えば、「主人公が子供の指を折る・切り取る」という物語上の動作を 「子供が指の間に挟んで手遊びしていた鉛筆を折る」という動作によって見立てる演出に、 鉛筆の折れる音からも残酷さを感じたといいます。 被害者から加害者へと変化していく主人公役を通して読んでみた受講生からは、 台詞の変化によって自然と読みながら自分が変わっていくのが分かるという感想が出ました。 また、複数の役の切り替わりを読んでいた他の受講生は、 多少混乱しながらも、切り替わりの心地よさや、 切り替わり前後の役の対比などの面白さがあったそうです。 1970年代に時代設定されたこの作品は当時のメディアによる被害者の過剰演出について描かれていたり、 また、蜂によって「日本人の特有の勤勉さの狂気」が象徴されていたりと、 様々なものが表現されています。 村上さん曰く、この作品は野田作品の中でも特異な作品だそう。 今回は配役を固定して一巡しか読めなかったので、次回も引き続き掘り下げていきます。 担当:広瀬