ト書きや台詞から「見立て」を見出す(10/3)
今回は、野田秀樹さんの作品『THEBEE』を取り上げました。
この作品は主人公以外の役について一人の役者が何役も兼ねるようになっていて、
立って、ト書きに動作が出る度に少し動きも付けて確認しながら、
立ち位置の変化などからも役柄の変化を読み取っていきます。
村上さんが観た実際の上演では「見立て」の演出が多用されていて、
例えば、「主人公が子供の指を折る・切り取る」という物語上の動作を
「子供が指の間に挟んで手遊びしていた鉛筆を折る」という動作によって見立てる演出に、
鉛筆の折れる音からも残酷さを感じたといいます。
被害者から加害者へと変化していく主人公役を通して読んでみた受講生からは、
台詞の変化によって自然と読みながら自分が変わっていくのが分かるという感想が出ました。
また、複数の役の切り替わりを読んでいた他の受講生は、
多少混乱しながらも、切り替わりの心地よさや、
切り替わり前後の役の対比などの面白さがあったそうです。
1970年代に時代設定されたこの作品は当時のメディアによる被害者の過剰演出について描かれていたり、
また、蜂によって「日本人の特有の勤勉さの狂気」が象徴されていたりと、
様々なものが表現されています。
村上さん曰く、この作品は野田作品の中でも特異な作品だそう。
今回は配役を固定して一巡しか読めなかったので、次回も引き続き掘り下げていきます。
担当:広瀬
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